【音訳】目の見えない人の読書を体験してみよう──音訳版公開
視覚障害のある方は点字で本を読んでおられるのではないか──。そんな印象をもっていましたが、点字が読める人は視覚障害者の約1割にすぎないそうです。では、どうしているのか?
多くは「音訳」といって、訓練を受けた「音訳者」がテキストを読み上げ、必要な補足などを加えた録音を聞いて、読書しているのだそうです。
実は岩波書店で発行している月刊誌『世界』は、広告ページも含めまるまる「音訳」されているのですが、10年以上も前、最初に『世界』の音訳をリクエストした方がいることを最近知りました。その方──中途失明された元高校教員の栗川治さんと、『世界』完全音訳版の実現にかかわったみなさんにお集まりいただき、座談会を行いました。視覚障害者がどのように情報にアクセスしているのか、あるいはできずにいるのか、初めて知る事実に驚きの連続。
座談会の様子は、『世界』2022年11月号に掲載されました。ではこの記事は、どのような形で視覚障害のある方に届けられているのか。関係者のご協力により、音訳版を特別に公開いたします。
ぜひ目を閉じ、音訳での読書をお楽しみください。
「座談会 音で読む『世界』──視覚障害者と情報保障」
(『世界』2022年11月号、260~267ページ)
【座談会発言者】
栗川治(くりかわ・おさむ)
元新潟県公立高校教員。1982年より社会科教員として働く。約5年後に病気のため全盲に。2022年定年退職。現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程、日本学術振興会特別研究員。
藤田晶子(ふじた・まさこ)
全国音訳ボランティアネットワーク代表。
松本道子(まつもと・みちこ)
音訳者。千葉点字図書館音訳会所属。
堀江達朗(ほりえ・たつろう)
社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会点字図書館職員。