WEB世界

雑誌『世界』のWebマガジン

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「WEB世界」の創刊に際して


 本日、「WEB世界」をオープンしました。
 私たちが『世界』のインターネット版が必要だと痛感したのは、今から7年前、2011年3月のことでした。

 ちょうどその年の1月号で、私たちは「原子力復興という危険な夢」という特集を編み、世に問いました。気候変動対策などを口実として「原子力ルネサンス」がうそぶかれる情況に抗しての特集でした。

 そこには、世界各地の動向とともに、「原発依存からどう脱却するか」をテーマとした論考、双葉町――3カ月後に全町避難となる――で自立したまちづくりをめざす人々のルポなどを掲載しています。

 発災の後、余震の続く中、刻々と伝えられる被災地の凄惨な状況と、深刻さを増していく複数の原子炉の行方を注視しながら、私たちは、原発事故が現実化しつつある状況とどう向き合うのか、とりわけ放射能の危険性などをどう正確に伝えるか、そのことに腐心しました。

 著者の方々や印刷所・発送部門をはじめとする多くの方々の協力を得て、シメキリまで震災発生から2週間たらずという中、5月号(4月8日刊)として「生きよう!」という特別編集の一冊を刊行しました。

 今あらためて振り返ってみても、この時の、「放射能のリスクについて知りたい」、「原子力発電とはどのようなものなのか」といった情報に対する欲求は、私たちの生存そのもの、生活と未来、健康ということとかかわって、きわめて熾烈なものがありました。

 私たちは、毎月の『世界』とともに、2011年1月号の記事をPDF版にしてネット上で公開するといった形で、その欲求になるべく応えるように努めましたが、目の前で起きている一つひとつの出来事や、これまで原子力発電を無批判にすすめてきた人々による言説――たとえば「ただちに人体や健康に影響を及ぼすものではない」というような――への分析や批判を、時間差の少ない形で発したい、と思いました。しかし、即時的に情報を発信できる場や体制を持たない中では、それは困難なことでした。

 それから7年も経過してしまいましたが、ようやく、多くの方々のご協力を得て、『世界』ウェブ版という場を持つことができました。

 このウェブ版の『世界』の編集方針と原則は、1946年より編んできた『世界』本誌と、なんら変わるところはありません。社会的な困難の起きた時に「頼りになる情報源」でありつづけたいと思います。(もちろん、「平常時」にも親しく付き合える雑誌でありたいとも思っています。)ですが、方針と原則は変わらずとも、ウェブ版ならではの情報発信を進めていきたいと思います。試行錯誤が続くと思いますが、本誌ともどもご愛読のほど、心よりお願いいたします。

2018年3月13日 『世界』編集部
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